問題
アメリカ人メアリー(達成志向)はニューヨークにあるグローバルな会計事務所で会計士として5年のキャリアを積み今年マネージャーになったばかりだった。
メアリーは効率よく仕事を遂行することで評価を得ており、通常よりも早いプロモーションでマネージャー職に昇進した。
複数のクライアントを抱えていたが、そのうちでも大きなクライアントの仕事を、部下のフランス人ローレンス(生活の質志向)と共に取り組んでいた。
ローレンスは現場リーダーであり、ローレンスがクライアント現場で後輩への指導を含む実務仕事全般を担当していた。
ローレンスは、フランスの同事務所にて7年の会計士キャリアを積み、今年ローテーション制度で念願のアメリカにやってきた。
ローレンスは現場リーダーとして、後輩にも重要な役割を振り、じっくり話し合いながら仕事を進めた。丁寧な仕事ぶりで、後輩との関係も良かった。
しかし現場での作業が進むにつれてメアリーはローレンスの仕事に不満を持ち始めた。メアリーにはローレンスの仕事のペースがとても遅く感じたからだ。
現場リーダーが責任を持って行うべき重要な仕事を後輩にやらせていることにも、ローレンスの責任感を感じられなかった。
更に、締め切りが迫ってきているため残業をして間に合わせるようにとローレンスに伝えると、ローレンスは「十分仕事はしています。過剰な残業はしませんし、後輩にもさせるつもりはありません」とメアリーに言った。
最終的に締め切りまでに仕事は間に合わず、メアリーは激怒した。ローレンスが自分の責任を果たさなかったことにも腹が立ったし、仕事の遅れで自分の評価が下がることにも我慢がならなかった。
一方でローレンスは涼しい顔をしていた。仕事が間に合わなかったのであれば、元々の仕事スケジュールの方に問題があるのだと思ったし、長時間の残業でプライベートな時間が無くなることに比べれば、仕事上での評価が下がることは大したことがないように感じていた。